月照無眠

但实际是做些什么,到现在还是不懂……。

森戸海岸


逗子駅からバスで葉山方面に10分くらいで森戸海岸に着く。晴れた日曜なのでバスも海岸も混雑していた。ヒッピーが築いたらしい海の家でボブ・マーリィ音楽祭をやっている。その音楽祭に呼応したのかいつも来ているのわからないが、赤・黄・緑のラスタカラーをあしらった帽子をかぶった男たちが砂浜に腰掛け、大小の太鼓をそれぞれ担当してゆっくりと叩き始めた。適当にいびつな円陣を組み、相互に顔を向けながらもみんな目線はどこを見るでもなく何かのリズムをつかもうとするかのような、考えにふけるような表情で太鼓を叩く。以前深夜に目撃した「猫の集会」に似ていた。


森戸神社は源頼朝が鎌倉に拠点を持ったのち葉山の聖地に創建したとかいう由緒であり、森戸海岸あたりは神社があろうがなんだろうが葉山の聖地だったということらしいが意味不明である。神社の境内には明治・大正・昭和の天皇を記念した石碑がそれぞれ立っていたけど、いずれにせよジャマイカのリズムが静かに聞こえる海岸で日を浴びながら眠ったり本を読んだりするのはいい時間だった。ボブ・マーリィ音楽祭も盛り上がっており、たまに出演者の興奮したMCが聞こえてくる。ジャマイカ音楽を楽しむ人たちはラスタファリアンに連なるからなのか、ポリティカルなものをいとわない。「おまえら原発ぶっ壊れてるのにこんなとこで踊ってていいのかよ!」「おまえら放射能なめんなよ! 海なんか入って被曝しないと思ってないだろうな!」「原発のない世界を!」など。


本にも寝るのにも2時間くらいで飽きたので海に入ったら入るなりクラゲに刺された。8月末の相模湾で人を刺すのはアンドンクラゲという種類らしい。3年前に三浦半島で泳いでたらアンドンクラゲの集団泳の中に入って行ってしまい、結構ひどい刺され方したときある。アンドンクラゲはいかにも刺しそうな触手を持ってるのでいればおそろしいし、そのときは触手が足とか背中に乗ってしまったらしく皮膚が線状に溶けてまだ痕が残ってる。その後も毎年クラゲには刺されてるけど、同じアンドンクラゲとは信じられないくらいたいしたことない。今日のも刺され具合はたいしたことないけどそれは結果からさかのぼって言えることで、アンドンクラゲいるやばいと思ってすぐに海から出た。ほとんど全裸といっていい水着で泳いでた中年男性もなんか刺すのがいるなあと言いながら泳ぎ続けていたのですごいと思った。夕焼けの時間に青一色の虹が出た。


パブリックシャワーがなく海の家は高いので森戸神社の手水舎に行ってみたけど、「神聖な境内で身体を洗う不届き者がいるので」*1とのことで使用不可になっていた。おでん食べて帰った。そういえば辻堂海岸にもしゃれたおでん屋あった。ここにもあった。

*1:不正確

日記


夏の日は部屋で暑さにたえるのも寒さにたえるのもいやなので、風通しのいい屋外に出かける。というのがここ数年の方針で、6月から9月の土日の昼間は極力都心に用事を作らないようにしていた。海や山に用事らしい用事があろうはずもないので、夏の土日は空けておいてその日の朝の気分であちこち出かける。でも今年は行きたい場所をリストアップし、あたかも用事でもあるかのように綿密なプランを立ててみた。これが大失敗で、数日前の自分が漠然と立てた行動指示すら窮屈に感じかえって出不精になってしまった。人との約束などがなくても、出かけるとなると身支度をして電車の時間を見てどうのこうので時間に追われる感覚があり、はやくでかけないとわざわざ遠出しても3時間もいられないよとはじめちゃんがうるさい。あわてた風に準備しながらふと予定をキャンセルすると、もう13時だったものがまだ13時に感じられて安心する。この安心感を繰り返し味わったけど、それはその瞬間だけきもちいくらいのもので、思い返せば不快。急ぎたくないという理由で急がないでおり、結局都心に出て退屈に過ごすことが多く、なんとなく悔いが残ってる。


その点今日はサンダーストームだったので予定キャンセルは必然だった。房総半島の海に行くプランだったけど、この雨で海はつまらなそうだしと窓の外を見てるうちに眠りに落ちたらしく、気がついたら3時間経っており外は晴天だった。こんなに晴れるならなんでもできた。


多摩川を臨む部屋に親戚が住んでおり、そこの広いバルコニーでバーベキュをしながら多摩川の花火大会を見るのがここ数年の(一族の)恒例行事となっていて、去年はなかったけど今年は開催されるとのことで数日前おばからメールがあってたのしみにしていた。しかし実は花火はあまりよく見えない。建物と川の間に東急電鉄の創業者の名前のついた美術館と庭園があり、そのうっそうとした緑が花火の半分ほどをさえぎる。ほんの数年前までは私の中の子どもっぽい要素がつよく、すべてを見逃すまいと舞台でも見るみたいに食い入るように花火を見ていて、ごちそうや親戚の会話はノイズだったし、全部見られないというのはこの恒例行事の重大な欠点だと感じていた。けど最近はこの恒例行事は桜を口実に集っていたかつての恒例行事*1の代わりであり、花火はやはり花なのだということがわかってきた。


幸田が車で合流を試みたが、今年の警備はいつも以上に大規模で環状八号線から多摩川の土手方面に下る路地はいくつも封鎖されており、面倒になって帰ってしまうという最悪の結末に。


20時に花火が終わり、風がすこし肌寒いくらいだったので室内に入り、「世界ふしぎ発見!」を見ながら果物を食べた。コモド島の伝説によれば、あるとき生まれた双子は片方が人間の男の子で片方がコモドオオトカゲの女の子であり、女の子は森へ消えた。しかし兄弟を慕い、しばしば人里近くに姿を現すのだという。というわけでクエスチョンの答えは「兄弟」でした。

*1:私の(両親の)家には大きなソメイヨシノの木があり、両親の仕事が自営業の関係もあり、親戚やらご近所さんやらよく知らないおじさんたちやらが集い毎年複数回の花見が自宅で行われていた。なんやかんやあってお家は競売に出され桜の木も切られて今はない。

日記

駅を出たところの人ごみがすごくて、動けなくなった。とにかく人が多い。排水のくだが髪の毛やなんかで塞がって流れなくなるように、駅を出てバスターミナル上空を横切るペデストリアンなんちゃらが人で塞がっているのかもしれない。そのとき誰かが「何があったんだ。一体。」と言ったのが聞こえた。その人自身の興奮も反映してか、声が大きかったためにやけに聞こえよがしであった。それにつられて私も「なにか(事故が?)があったの?」と思うのと同じ速さで、周囲の人が「なにか(事故でも?)あったの?」と心構えを改めてる気配が急速に伝わる。四季の変化を早回しで見せる映像のように、山肌を覆う一面の木々が一斉に好奇の季節をむかえたのだ。非日常になった。なにかはわからないがなにかがあったのだ、という了解が共有されたせいで、駅前の人ごみに非日常がたれこめてとても不穏。破局の予感がした。破局にはたえきれないのでなにも起こらなかった。

はじめちゃんが和室にこもってるがそうじをしてない。

今期ドラマまとめ

  • 平均-最新-前回比--局・枠--- タイトル-----

=【20%】==================================
16.40|14.4|-2.1P|CX*月21|鍵のかかった部屋
15.90|10.9|-6.0P|TBS日21|ATARU
=【15%】==================================
13.60|13.6|-0.9P|CX*火22|37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜
13.57|12.7|+0.6P|NTV土21|三毛猫ホームズの推理
12.20|10.3|-3.8P|EX__木20|新・おみやさん
12.05|12.7|+1.3P|EX__水21|Answer〜警視庁検証捜査官
11.83|11.2|-0.9P|CX*火21|リーガル・ハイ
10.90|10.9|--.-P|EX__木21|Wの悲劇
10.85|*9.3|-2.1P|TBS月20|ハンチョウ〜警視庁安積班5〜
=【10%】==================================
9.85|*8.1|-3.5P|TBS木21|パパドル!
9.83|10.0|+0.8P|EX__金23|都市伝説の女
9.80|*9.7|-1.0P|CX*木22|カエルの王女さま
8.55|*8.3|-0.5P|TBS金22|もう一度君に、プロポーズ
8.30|*6.7|-3.2P|NTV水22|クレオパトラな女たち
7.85|*5.8|-4.1P|CX*土23|未来日記-ANOTHER:WORLD-
=【5%】==================================
4.37|*3.4|-0.2P|CX*日21|家族のうた



相棒祭りに忙しくて今期あんまり見てないのでまとめうんぬんする資格があるのかは疑問。
とりあえず現時点で継続してるのにだけ言及します。


ATARU

サヴァン症候群の主人公(中居正広)がなぜか事件現場に現れ誰よりも早く事件の真相らしきものを見抜く。ただ、コミュニケーションを得意としないため、北村一輝栗山千明の刑事ドタバタペアに断片的なヒントを出すにとどまる。2人がそれらのヒントの解釈に取り組む過程を通じて事件の真相が少しずつ見えてくる。みたいな作りの刑事ドラマ。

警察モノでサヴァン症候群と言えば相棒S.7-19が思い出されます。いつも風景とかネズミの絵(写真のような見たまま正確な絵)しか描かないのに、ある日の絵が殺人現場と思われるものだったために特命が捜査を開始する……。ネタバレになるので詳細は触れませんが、最終的にはそれは殺人現場の絵なんだけど実はそれだけというわけではなく、というところでひとつの逆転があって右京さんの推理が完成するんだけど、ネズミはとても警戒心のつよい動物なのでああいう状況は本当にあり得るだろうか? というところがあの回のひとつ瑕疵に感じられました。

という脱線はともかく、「ATARU」は製作サイドがなんか楽しそうにヒントちりばめてる感じはするものの、見てる方としてはそう楽しめない。北村一輝栗山千明ドタバタペアのドタバタは20秒に一回は繰り返され(まるで『銀魂』である)かなりしつこい。中居正広というのもなんか微妙でわ。

というわけで離脱すると思う。



37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜

草なぎが医者やるやつなので橋部脚本のアレかと思ったら脚本家ちがった。おもしろい。キャストも完璧であり。斉藤工もすばらしい。医大にはいるのもものすごくお金がかかるので、脱サラして医者にとなったらさらに守りに入りそうなところ、このドラマの主人公はそうはならない。立派である。独断でそんなことしていいのくらいに思いますが、医師という職業は究極的には責任を負えないし、そのことを深く自覚するがゆえに全て自分自身の責任において決断するしかない、、、というようなテーマを考えると、それってどの仕事でもそうだし自分のことも省みざるを得なくなりますよね。同じ研修医仲間や、とにかくえらそうな教授から「へんなやつだ」と疎ましく見られる居心地の悪さをドラマで体験するのみ。



三毛猫ホームズの推理

相葉雅紀さんいいんですけどあんまり集中して見てない。なんかしながら的な。〇〇さんて出てくると途端に画面が安っぽくなりますね。松坂桃李が出てた怪盗なんちゃらみたいなやつのときも思った。



ハンチョウ〜警視庁安積班5〜」

質実剛健の感あり*1
福士誠治だいすき。話自体はわろける。佐々木蔵之介の険しい顔・やおら興奮・怒りの発露、などなんかおもしろい。なにかのパロディに見えてくる。佐々木蔵之介の最高傑作はホストドラマ「ギラギラ」である(異論はないだろう)。また見たい。



もう一度君に、プロポーズ

見てないけど見たいわ。
見るわ。



クレオパトラな女たち

今期最も良い。命に関わる病気を治す医者と比べてとかく下に、というか本道を外れた世界のようにみられがちな美容整形クリニックの世界で、わりとそういう考えでいた主人公(佐藤隆太)が借金返済のためとかなんとかという理由で働きはじめる。佐藤隆太も研修医草なぎ同様純情なうえ、ルーキーズでのようにすこし古風で頑固なところがあるため、一見華やかな美容整形クリニックにつよく反発する。しかし美容整形医にも高い志があり。。。綾野剛三浦翔平なども良い。
手術シーンはかなりリアルなのでこわくて目を背けてしまうような感じだし、エンディングで一般の人へのインタビュー(「自分の顔が好きですか?」みたいな)が流れるのも、なんだか作り手のつよい思いが感じられる。



未来日記-ANOTHER:WORLD-」

意欲的なキャスティングである(なのか?)。おもんない。〇〇さんて出てくると途端に画面が安っぽくなりますねドラマである。






ところで「相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン」で動画を人相情報で自動にチェックしてどうのこうのていう場面あるけど恐ろしい技術ですね。「犯罪につよいまちづくり」的なやつで個人レベルでもサーベイランスカメラの設置をおすすめしており、そういう街中の画像が人相レベルで解析されてつねに誰がどこでなにしてたか追えるようになるとか。。。わー最悪!

*1:地味だと言いたいのをなんか良さそうに言うときのきまり文句

ミュージカル『テニスの王子様』青学vs聖ルドルフ・山吹

今日が千秋楽でした。 

 

いまだに原作は1巻しか読んでなくて、テニミュがあまりにもすばらしいんだけどそのすばらしさの何割かは原作のすばらしさでもあるはずだから原作者リスペクトと思い、原作はヤフオクとかじゃなくてちゃんと定価で買うか、今完全版が刊行されてるからそれを追うかとか考えてるけど、とにかくテニプリの歴史の厚みに圧倒されており、あんまりお金使いすぎないようにしたいみたいな。テニプリが好きなのかミュージカル(のキャストさん)が好きなのかいまいち判然とせず。 

 

不動峰公演は第一部がリョーマが(海堂・乾を下して)レギュラーになるまでで、第二部が地区予選の不動峰戦。レギュラー戦の「レギュラー」という曲と、最初の対外試合を印象づける「VICTORY」という曲がすごく名曲で印象に残ってました。 

 

今回は都大会で、校内のレギュラー争いとかないから、かなりテンポよく試合に突入する。不動峰戦でもあったけど、対戦各校のカラーがあざやかに出てきていて、3校が入り乱れる演出はすごくよかった!! 

 

第一部のルドルフ戦では、不二兄弟のエピソードもかなり中心的なテーマなんだけど、結局リョーマが決して負けないということが二部の山吹戦とも共通して前面に出てきてると思った。その意味で、この公演でのいちばんのテーマは「輝け、もっと」という曲にこめられてると思う。 

 

 


【勇気VS意地 & 輝け、もっと】 - YouTube

↑むかしのやつ 

 

敗れたルドルフ山吹のメンバーが「負けるもんか/俺たちだって/あいつらと同じさ/俺はあいつより/もっと輝いてみせる」と歌う中をリョーマが歩いてくる。 

リョーマの輝きに照らされるなかで、それぞれの悔しさとそれぞれの憧れ(金田→赤澤/不二弟→兄/壇→亜久津)が交錯するみたいな。 

 

今日の公演では壇くんが「亜久津先輩! 辞めないでください!」のとこからガチ泣きだったので泣いた。。。

 

不動峰戦ではカチローに萌え狂ってたんだけど今回は完全に壇くんに目をうばわれてましたね。結局体操着が好きなだけなのでわ? というフェチ的な可能性もあるけど壇くん/亜久津先輩は本当に魅力的なキャラだと思う。 

 

ルドルフは赤澤部長のキャラもよかった。あれは原作うんぬんよりもキャストさんの魅力があふれ出ていたのだと思う。確信してる。舞台的には柳沢役もやたら目立ってた。 

 

山吹は全員最高。好きすぎる。千石清澄は多分原作もいいんだろうけど、キャストさん本当にすばらしかった。山吹中テニス部に入部したい。 

 

ミュージカル『テニスの王子様』青学vs不動峰

 

2/8(火)

 

その前の土曜日も行ったけど、そのときやっぱりまた見たい! と思ってセブンイレブンの端末見たら当日引換券が買えたので買った。1階席後方だった。土曜日2階だったしあとJCBホールで行ったときも第3バルコニーだったから1階はじめてとなった。

 

見上げ気味な視点だとそれなりに新しい発見あった。けどやっぱり2階中央から見るのが最適なようにできてる気がする。舞台ってたいていそうなのかな?? 

 

アンコール曲でキャストさんが客席に下りてくるとき、乾先輩と桃城先輩がきた。近くで見ると乾先輩かっこよかった。 

 

アンコール曲(Jump up!High touch!)名曲なので集中して聞きたいけどキャストさんが近くにハイタッチしにくるとやっぱり興奮して曲どころじゃなくなるのでハイタッチも良し悪しと思った。あと、桃城の人は全く客にタッチしてなくて、そういう方針ならそれでいいはずなのになんとなく印象悪くなるようなのも微妙。そのてんリョーマ役の小越さんは熱心にやっててすごいと思った。いい分にはいいんだけど。 

 

カチロー役の人の誕生日だった。特になにもないけど。カチロー注目してたらかわいいので好きになってきてる……!!

 

 

2/11(金) 

テニミュ前楽 

  

火曜日ので今回の公演は最後のつもりだったけどたえきれず行った。2階通路側だったので今日こそタッチするぞ! と思ったらこなかった。こうタッチのことばっかり考えるのよくない。 

 

千秋楽も入りたいと思って雪の中当日券抽選列ならんだけど当選しなかった。 

 

半分ネタのつもりで1月に観にいったテニミュにこんなにはまるとわ。ちょうど2ndシーズンということで、原作ストーリー最初に戻っているタイミングもよかった。 

 

最近以前の公演のDVDなども見てるけど、今回のキャストすごくいいと思った。特に一年生トリオが本当にかわいいのがいい。最初のトリオは歌唱力と演技力あって狂言回しとしていい演技してるけどいかんせんおっさんすぎるのだし(それはそれでいいんですが)。。。

日記

はじめちゃんと私がまだ寝ているうちから幸田は起き出してなにかガタガタやっていた。幸田が起きると埔心も起きる。食堂から埔心の朝食の音がきこえた。埔心はいつもシリアルの類いしか食べない。幸田がボウルにシリアルを開けてあげた音がするとすぐ、埔心がごりごり噛み砕いているのが音でわかるのだ。はじめちゃんも私も完全には目覚めていなかったが、いつもの朝の物音でそろそろ起きないといけないことはわかっていた。私は起きる前の仕上げのもう一眠りのために、意識を食堂の物音からまぶたの裏に持っていって、安らかに呼吸を整えた。しかしはじめちゃんが起きろと急かしたせいで眠りの幕引きは台無しになり、目は覚めたけど私は機嫌が悪かった。

幸田が仕事に出て行き埔心が玄関まで見送る。はじめちゃんと私も声だけで見送る。はじめちゃんはぴりぴりしていて、私がゆっくりヨーグルトを食べながら新聞を読んでいても、新聞なんか仕事場で読めばいいじゃないかと横から責め立てる。実際のところ、はじめちゃんの言うことを聞かないと私は遅刻してしまうし、何日も続けて遅刻するのがイヤで仕事を休んでしまったりするから、はじめちゃんがうるさいくらいでいることは私にとって重要なことだった。ごくまれにはじめちゃんが私を甘やかすようなときがあって、そうなると私はとことん甘えてしまう。はじめちゃんと私とで生活改善の計画を立てても全くうまくいかないけど、そういうときにはじめちゃんが提案する妥協的なアイデアはいつも適切で、結局私ははじめちゃんの言う通り動いてるだけなのだ。

あるとき、素手で魚を捕まえる怪人の話になった。両手がどじょうの群れみたいになっていて、川や沼に腕を浸すと、それに引っかかって魚が捕れる。大昔の軍隊には、こういう怪人がいてみんなの食事を確保していたんだ。とはじめちゃんが言っていた。